てがみ座のお芝居を観に行く。
台本を書かれたときは、もちろん震災前であり、
伝えたいメッセージも震災前の世界へだったろうけど、
ひとつひとつのセリフが、今の世界へしっかりと届く。
作者の長田さんは、お話をすると、とても柔らかな印象の方。
でもその心の底に流れている物は熱いから人が動くのだ。
震災の影響で、お稽古で集まる事も大変だったろうし、
お客様のキャンセルも多く大変な苦労もある中、公演は続く。
勿論、いつ余震がきても対応できるようにされているので、安心して観る事もできた。
1回ずつ無事で終える事がどんなにプレッシャーだろうかと思う。
是非、千秋楽まで乗り切って欲しい。
劇場へ向かう途中、本を読んでいた電車内の電気が消えて、
電車が駅に滑り込むと不思議な暗さになった。
お昼過ぎで、外が明るい。
高校時代乗っていた電車は、
ある場所を通過する時だけ車内が停電する時があったなあ。
その時みたいだ。
帰りの電車では、ドア近くに立っていたので、
四角いマンションを
どんどん電車が追い越して行くのを眺めていた。
そのひとつひとつ窓に
それぞれの人生があって、
越して来たばかりの人がいて、
あと数ヶ月で去る人がいて、
家族で住んでいる人、
どこかへ行きたいけど思い悩んでいる人や
そこに早く帰りたい人がいて。
ぼんやりとそんな事を考えている内に地元へ着く。
夜は久しぶりに歌練習に参加して、笑って、
メンバーとそれぞれの震災後の話をいっぱい喋って。
ささやかな1日が終わる。
今日の温度みたいで、心にちょうどよい1日。